生活保護を受けている方の「想いを大切にしたお葬式」事例紹介

身近なご家族が亡くなったとき、特に生活保護を受給されている場合は「葬儀をどうしたらいいのか」「費用はどうなるのか」など、多くの不安や疑問が生まれます。
今回は、実際に警察病院でご逝去された方のご葬儀をお手伝いした事例をもとに、生活保護と葬儀の現実、そしてご家族の想いについて綴ります。
病院でのご逝去とご家族の想い
警察病院からご逝去の連絡を受け、お迎えに伺いました。
病院には故人様の妹様、その息子様(M様)、そして内縁のご主人がいらっしゃいました。
ご家族の悲しみの中、まずは故人様を一旦お預かりし、ご安置のためホールへ搬送。
M様のご連絡先をお聞きし、今後の流れについてご説明いたしました。
その後、M様とお電話で打ち合わせを重ねる中で、「生活保護を受けているが、できれば自分たちで費用を出してあげたい」「一日だけでも自宅に帰してあげたい」という強いご希望を伺いました。
生活保護と葬儀費用の現実
生活保護を受給されている方が亡くなった場合、一般的には「葬祭扶助(そうさいふじょ)」という制度を利用できます。
これは自治体が火葬のみの最低限の葬儀費用を負担してくれる制度で、遺族の経済的負担を軽減する目的で設けられています。
しかし、葬祭扶助は「遺族が費用を出せない場合」に限られます。
もしご家族が「自分たちで費用を出したい」と希望された場合は、葬祭扶助は適用されず、通常の葬儀費用を自費で負担することになります。
このケースでも、M様ご家族は「自分たちの手で送り出したい」という強い想いから、自費での葬儀を選択されました。
ご家族の希望を叶えるために
ご家族のご要望は、「一日だけでも自宅に帰してあげたい」というものでした。
火葬日の前々日と前日、故人様をご自宅にお連れし、ご家族やご友人が集まってお別れの時間を過ごされました。
その日には多くの方が故人様を偲びに訪れ、皆様にとっても心に残るひとときとなりました。
火葬当日は約15名のご親族がホールに集まり、お花を飾り、故人様を温かく送り出しました。
生活保護受給という制約の中でも、ご家族の「できる限りのことをしてあげたい」という気持ちが形となったご葬儀でした。
生活保護のお葬式で知っておきたいポイント
1. 葬祭扶助制度の概要
- 生活保護受給者が亡くなった場合、自治体に申請することで「葬祭扶助」が利用できます。
- 基本的には火葬のみ(直葬)となり、通夜や告別式は行われません。
- 費用は自治体が直接葬儀社に支払います。遺族の負担はありません。
2. 葬祭扶助が利用できないケース
- 遺族が葬儀費用を負担できる場合は、葬祭扶助は適用されません。
- この場合、通常の葬儀費用を自費で支払う必要があります。
3. 申請の流れ
- まずは葬儀社に連絡し、故人様を安置します。
- 担当ケースワーカーや福祉課に連絡し、葬祭扶助の適用可否を確認します。
- 適用可の場合は火葬日を決め、葬儀(火葬のみ)を行います。
4. 遺品整理や納骨について
- 遺品整理や住居の退去費用は葬祭扶助の対象外で、遺族が対応する必要があります。
- ご遺骨の引き取り手がいない場合、提携寺院での一時保管や永代供養が選択できます。
ご家族の「想い」を叶える選択肢
生活保護を受給している場合でも、「できるだけ故人様らしいお別れをしたい」「家族の手で送り出したい」と考える方は少なくありません。
葬祭扶助を利用すれば費用負担はありませんが、火葬のみのシンプルな内容となります。
ご家族の希望によっては、自費での葬儀を選ぶことで、より多くの方が集まり、故人様にふさわしいお別れの場を設けることも可能です。
今回の事例では、ご家族が「自分たちで費用を出してあげたい」と自費での葬儀を選択し、故人様をご自宅にお連れすることで、多くの方が最後のお別れをすることができました。
生活保護だからといって「できることが限られる」と諦めるのではなく、ご家族の想いを大切にする選択肢もあるのです。
まとめ
生活保護を受給されている方の葬儀は、制度として葬祭扶助が用意されており、最低限の火葬を自治体が負担してくれます。
しかし、ご家族の想いによっては自費での葬儀を選ぶこともでき、その場合は一般的な葬儀と同様に、ご自宅でのお別れや多くの方の参列も可能です。
大切なのは、「どのように故人様を送りたいか」というご家族の気持ち。
制度を正しく理解し、ご家族にとって最良の形を選択できるよう、専門家や葬儀社に相談しながら進めていくことが大切です。
生活保護と葬儀に関するご相談は、どんな小さなことでも専門のスタッフが丁寧に対応いたします。
大切な方との最後の時間が、悔いのないものとなるよう、心を込めてお手伝いさせていただきます。
生活保護の葬儀に関するよくある質問
- Q. 葬祭扶助は誰でも利用できますか?
- 生活保護受給者またはその家族が経済的に困窮している場合に限り利用可能です。
- 生活保護受給者またはその家族が経済的に困窮している場合に限り利用可能です。
- Q. 葬祭扶助を利用するとどんな葬儀になりますか?
- 基本的には火葬のみ(直葬)で、通夜や告別式は行いません。
- 基本的には火葬のみ(直葬)で、通夜や告別式は行いません。
- Q. 自費での葬儀はできますか?
- 可能です。ご家族が費用を負担することで、一般的な葬儀や自宅でのお別れもできます。
- 可能です。ご家族が費用を負担することで、一般的な葬儀や自宅でのお別れもできます。
- Q. 遺品整理や納骨はどうなりますか?
- 葬祭扶助の対象外です。遺族や関係者が対応する必要があります。
- 葬祭扶助の対象外です。遺族や関係者が対応する必要があります。
生活保護を受給されている方の葬儀について、ご不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
ご家族の想いに寄り添い、最善のご提案をさせていただきます。